
Club MAGOのサウンドシステムは2000年前後に今のシステムの基礎になる形でオランダ製のMaster BlasterSP3+SP215が導入され、さらにその2年後にSP4D+SP415が導入され大幅に強化されました。その後床の張り替えブースの改造などの大きな改修工事を経て今の形に落ち着きました。
MAGOのサウンドシステムという時にスピーカーにばかり目がいくのかも知れませんが、特筆すべきはコントロール機材や周辺機器の充実でしょう。CDJ2000NXS2の電源はCEC製の精密なアイソレーションインバーターから供給され、低ノイズ低歪みサインウェーブ駆動によって高解像度の再生を可能にしています。
DJ Mixerからの音源はMidas VeniceFの入力段を経由した後にXTA SIDDデジタルプロセッサーによって最初に音作りがなされ、さらにある程度の自動運転を可能にしています。再びMidasに戻った音源は出力段を経て、Klark Teknik DN9848 Speaker Management Systemによって、フロントサブロー、フロントハイボックス、リアスピーカー、そしてトィータークラスターの各回路に分配されるとともに、各スピーカーの配置や特性に最適化させています。おそらく多くの人はMAGOの天井にスーパートィーターが仕込まれていることすら気づいてはいないと思いますが、こうした仕組みによってスピーカー自体の存在よりも空間でのサウンドの合成の方を重視したシステムデザインが行われています。さらにMidasの出力段からDN9848までの間にAMEK9098CL A級動作コンプリミッターが使われて暖かな太いサウンド傾向をつけ加えています。
DJモニターシステムにもMaster Blaster Personal Monitorを使用し、さらにブース下に15インチサブウーファーを仕込んでいます。モニターサウンドはKlark DN3600と言う高価なGEQによって整えられています。さらにメインのサウンドは距離による時間差を調整されてバーカウンター前の天井に取り付けられたXactというスピーカー、さらに奥のセカンドルームに使用できる部屋にまで分配されており、全てが一体になって合成されるように綿密な調整が施してあります。
MAGOのこのようなシステム構成は非常に高価なものであり、2000年代初頭においては他には例を見ないようなクラブサウンドシステムであったと思います。これには店側のサウンドに対する熱意と情熱がなければ実現しなかっただろうと思います。
(Asada LIFE FORCE)